一人親方さんをめぐる諸制度
こんにちは。
行政書士の福元@鹿児島です。
建設業では,労働者を雇用せず,
主に自身一人で業務に従事する
「一人親方」と呼ばれる個人
事業主がいらっしゃいます。
建設の現場では,会社に雇用
されている方など様々な方々と
共に従事しますが,一人親方の場合,
他の方と適用が異なる制度なども
ありますので注意が必要です。
・労災保険
建設の現場で起きた災害の
補償は,原則的には元請事業者の
労災保険により行われます。
しかし,労災保険はそもそもが
被雇用者など「労働者」に対する
補償であり,「事業主」である
一人親方は適用外であるとの
判断が示されています。
→一人親方が労災の補償を
受けるには,「特別加入」
という仕組みを利用します。
社労士などが運営する
労働保険事務組合に加入の上,
保険に入るといった方法が
あります。
・建退共
建設業退職金共済(建退共)は
建設業に従事する労働者を
被共済者とする制度であり,
例えば会社組織であれば
代表者はもちろん,役員
(登記上の取締役など)は
原則,被共済者にはなれません。
「一人親方」は事業主であり,
その意味では対象外ですが,
任意組合などを組織することに
より被共済者となる道筋があります。
詳しくは最寄りの支部事務局に
ご相談ください。
・建設業許可
一人親方は許可を取れるの?という
ご質問をいただくことが時々,
あります。
建設業許可は法人,個人,
いずれでも取得可能ですので,
一人親方ももちろん,個人事業主
として許可を申請することができます。
このとき,配置技術者について
考慮が必要です。
許可を取るうえで技術的担保として
「専任技術者」(営業所常駐)を
置かなければなりません。
また一方で,施工する工事には
技術者(主任技術者)を配置
しなければなりませんが,
専任技術者との兼任は原則
禁止とされています。
一人親方の場合は,兼任しなければ
仕事が請けられなくなってしまうため,
営業所の近隣の現場であることや,
直ちに連絡が可能などの
条件を満たすことで施工が
認められています。
※請負金額3,500万円以上(建築
一式工事では7,000万円以上)
の工事では配置技術者の現場常駐が
求められるため,請け負っては
なりません。
一人親方は,事業主として
仕事を請け負うのを基本としつつも,
現場によっては会社に一時的に
雇用されている,といったケースも
あるかと思います。
こうした場合は,契約ごとに
それが「雇用」であるのか
「請負」であるのかについて,
明確にしておくことが大切です。
いずれの類型であるかによって
適用されるルールが異なって
まいります。
0コメント